舌足らずの詩人は

福地勇からあなたへ歌や病気など

高村光太郎。一生を棒にふって人生に関与せよと言った人。吹きつのる雨風の中、圧倒的な美の前にひれ伏していた人。あり余る落ち葉を浴びていた人。火星を見上げていた人。妻を狂わせた人。たくさんの詩人の中で、僕が一番好きな人。

詩集を貸してくれたのは、唯一無二の親友。あれからおよそ三十年。僕は未だにこの詩集を返していない。