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立原えりかという童話作家がいまして、その世界では有名な人。とてもメルヘンなので女の人が好きそうだから、
「読書です。」
「どんなものを?」
「僕は児童文学が好きです。」
「例えば誰とか?」
「立原えりかとか。」
「へえ・・・」
「とてもメルヘンで・・・」
「ああ、メルヘンですな・・・」
「・・・」
これ以上は不可能。
「僕は児童文学が好きです。」
「例えば誰とか?」
「小川未明とか。」
「へえ・・・」
「あの、赤いろうそくの・・・」
「ああ、ろうそくのね・・・」
「・・・」
まだいいでしょう。
いずれにせよ理解されぬのであれば、小川未明にしておくべきだ。実際、誰か一人を挙げるなら、僕はやはり小川未明と言う。実際、多分一番好きだから。
しかし昨夜、とてもとても久しぶりに立原さんを読んで驚いた。
突き抜けたメルヘンは、僕の精神に触れ、僕の神経は揺さぶられ、僕の目からはたくさん涙が出た。
次の不毛な会話には、立原えりかも入れようと思う。実際、僕は彼女の本を十二冊も持っている。